火の鳥

都会(まち)に行こうと決めたとき

向かい会うように翔ぶ一対の

鳳凰を目に焼きつけた

そのときは まだ言葉を持たず

ただ神聖な気持ちで見上げていた


故郷(ふるさと)には記憶さえもない

幼い日に肉体から 魂は解離し

もうすでに苦界を翔ぶ

火の鳥となっていた


職人だった父が

欄間に刻みつけた鳳凰

私が死ねなかったのは

その鳥が不死鳥だったから


幾千回 炎に身を焼き尽くして

幾千回 その中に甦る火の鳥

人間(ひと)としては生きられない

畸形の苦しみ


もうすでに 会うことも

できないあなた

桐の木に封じられた その心に

めぐり逢うとき

あなたの心にも

めぐり遭えるだろうか



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ライフ・ワーク

人を許す人間には なりたくない

そんな鼻持ちならない人間には

なりたくない


許す行為の前には

裁く行為をしてしまうはず

いったい何の権利があって

人が人を裁くのか


常識という名の無理解

逃げ込むための安っぽい哲学

品定めするような卑しい視線

踏みにじりあうだけのコミュニケーション


どこかでみんな うんざりしている

どこかでみんな 傷ついている


ちっぽけな物差しで

わけ知り顔で測りたくない

ちっぽけな物差ししか持てない

自分に絶望し続けたい



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わたし

わたしは四百年近く生きている

醜いものを たくさん見過ぎた


わたしは昨日生まれたばかりだ

世界の美しさを これから知る


わたしは生きたまま埋められていた

その暗い穴を見て 泣く


わたしは予感にあふれている

空と風と星と海と森と人に 会いにいく


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幸福

ふとした人の 優しさが

心を静かに満たしてゆく

音楽が文学が映像が 私を魅了する


痛めつけられてきた

者たちだけに

与えられた幸福


生きることは険しく

くじけそうになるけど


私達は もうこれでいい

弱り果てては いるけれど

歪んでは いないから


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あなたへ

一人ぼっちだと

思うことがあれば

どうか私を

思い出してください


一人ぼっちの私が

あなたのそばに いるから


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