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火の鳥

都会(まち)に行こうと決めたとき

向かい会うように翔ぶ一対の

鳳凰を目に焼きつけた

そのときは まだ言葉を持たず

ただ神聖な気持ちで見上げていた


故郷(ふるさと)には記憶さえもない

幼い日に肉体から 魂は解離し

もうすでに苦界を翔ぶ

火の鳥となっていた


職人だった父が

欄間に刻みつけた鳳凰

私が死ねなかったのは

その鳥が不死鳥だったから


幾千回 炎に身を焼き尽くして

幾千回 その中に甦る火の鳥

人間(ひと)としては生きられない

畸形の苦しみ


もうすでに 会うことも

できないあなた

桐の木に封じられた その心に

めぐり逢うとき

あなたの心にも

めぐり遭えるだろうか



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