火の鳥
都会(まち)に行こうと決めたとき
向かい会うように翔ぶ一対の
鳳凰を目に焼きつけた
そのときは まだ言葉を持たず
ただ神聖な気持ちで見上げていた
故郷(ふるさと)には記憶さえもない
幼い日に肉体から 魂は解離し
もうすでに苦界を翔ぶ
火の鳥となっていた
職人だった父が
欄間に刻みつけた鳳凰
私が死ねなかったのは
その鳥が不死鳥だったから
幾千回 炎に身を焼き尽くして
幾千回 その中に甦る火の鳥
人間(ひと)としては生きられない
畸形の苦しみ
もうすでに 会うことも
できないあなた
桐の木に封じられた その心に
めぐり逢うとき
あなたの心にも
めぐり遭えるだろうか
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ライフ・ワーク
人を許す人間には なりたくない
そんな鼻持ちならない人間には
なりたくない
許す行為の前には
裁く行為をしてしまうはず
いったい何の権利があって
人が人を裁くのか
常識という名の無理解
逃げ込むための安っぽい哲学
品定めするような卑しい視線
踏みにじりあうだけのコミュニケーション
どこかでみんな うんざりしている
どこかでみんな 傷ついている
ちっぽけな物差しで
わけ知り顔で測りたくない
ちっぽけな物差ししか持てない
自分に絶望し続けたい
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『火車』
宮部みゆきさんの作品は歴史小説が多いようですが、この作品は違うので、歴史小説が苦手な私でも楽しめました。
松本清張を彷彿とさせる深い人物洞察。罪を重ねずには生きられない人間というものを、哀しみながらいとおしむ、眼差しが優しいのです。
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